ベネッセとソフトバンクの合弁会社であるClassi(クラッシー)株式会社が、学習支援プラットフォーム「Classi」を活用する全国約170校の生徒約2万人の学習記録データを分析し、成績向上につながる効果的な指導方法や学習方法について検証。
ものすごく意外な結論というのは見当たりませんでしたが、大規模な調査によりアクティブラーニングの有用性を検証したことは有意義だと思います。
Classiとは?
Classi は、先生の授業や生徒指導、生徒の学習を、先進のICT技術でサポートする国内最大規模の学習⽀援プラットフォーム。2014年の提供開始以来、全国の4割超となる2,100校以上の高等学校に導入され、生徒80万⼈以上が利用しているそうです(2017年12月時点)。
調査の概要
今回の検証では、Classiに蓄積された学習記録データおよび、高校生を対象とした総合学力テスト「進研模試」の統計データを用いて、ICTをどのように活用すれば成績向上につながるのかについて検証。
分析方法
- 目的:ICT教材を利用した成績上昇につながる効果的な指導方法・学習方法の検証
- 対象:Classiおよび進研模試を利用した高校生2万851人
- 使用データ:Classiの利用記録データ(学習動画の再生回数、WEBドリル完了回数など)、進研模試の統計データ
主な検証結果
ドリルや動画などのデジタル学習コンテンツの利用が多いほど、成績が向上
まず、Classi の「WEBドリル」や「学習動画」を多く活用している学校ほど、成績が向上する傾向が見られた(図1・図2)そうです。
デジタル学習コンテンツの利用と偏差値の変化に正の相関が見られたことから、成績向上には一定の学習量が必要であることがあらためて裏付けられた、としています。
先生から生徒への働きかけが、成績向上にプラスの効果がある
Classi の「メッセージ機能」を活用し、先生と生徒がコミュニケーションを多く取っている学校ほど、成績が向上する傾向が(図3)。また、先生から生徒へのメッセージの送信回数が多い学校ほど、「WEBドリル」や「学習動画」の利用率が高いことも分かりました(図4)。
この結果から、先生から生徒への働きかけには、学習促進の効果があることが分かった、としています。
生徒の主体的な学習の記録と先生からのフィードバックが多いほど、成績は向上
Classi の「学習記録機能」を活用し、生徒が学習進捗の記録を多く行う学校ほど、偏差値の上昇幅が大きいという傾向が(図5)。また、先生からのフィードバックを多く行う学校ほど、成績が向上する傾向も(図6)。
より重要なのは「生徒の働きかけ」
さらに調査では、「学習記録」についての分析により、生徒の記録に対して、先生が一方的にフィードバックするだけでは学習に向かうモチベーションアップの効果は薄く、たとえフィードバックが少なくても生徒が主体的に学習記録を記入している学校の方が、成績の伸び幅がより大きいという結果が見られました、としています。
これらの結果から、学習が習慣化するまでは、ある程度先生からのフィードバックが必要ですが、最終的には生徒自らが学習習慣をコントロールすることが成績向上につながると考えられる(図7)、というのがここでの結論だそう。
生徒の「学習記録」の投稿が多く、先生の「コメント」も多い「相互交流」タイプは、1年間で1.47アップ。これに対して、双方ともに少ない「非活発」タイプは0.33ダウンした。先生の「コメント」が少なくても、生徒の「学習記録」の投稿が多い「生徒中心」タイプは、1年間で1.71アップ。
生徒の主体的な学習記録が習慣化されることで、成績向上にプラスの効果を持つ可能性がある、としています。
もっとも効果の出た「生徒中心タイプ」、つまり、生徒のコメントは多いが先生のコメントは少ないグループの学習イメージがいま一つピンとこない気もするのですが。「先生のコメントがさほど必要ないくらい、生徒が自発的に学習している」ということでしょうかね。だとしたら、成績が上がるのは当然なのかもしれません。