4年生からの塾通いが定番になりつつある中学受験ですが、多くのお子さんが消化不良になりがちなのもまた事実。意外と多い「塾と家庭教師の併用」や「あえて塾なしで家庭教師一本に」という作戦について、まとめてみました
意外と多い!塾 + 家庭教師の併用
教室にいる間の学習だけで、塾のテキストをきちんと理解できる子はほんの一握りなので、家庭で行う予習や復習がとても大事になります。
パパ塾やママ塾でフォローできればもちろん素晴らしいのですが、実際のところ、それもなかなか難しいです。「中学受験は親の受験」と言われるほど、親のサポートが重要なのは事実ですが、6年になると、教材も増え、内容も難しくなります。普段の学習の面倒を親が見る、というのはなかなか難しいのが正直なところでしょう。
ですので、中学受験塾に通いながら、家庭教師のサポートを受けることはわりと普通のこと。公式なデータなどはありませんが、例えばサピックスの場合、2〜3割は家庭講師をつけているのでは?というのが大方の見解。
もちろん、それなりの費用はかかりますが「あと1年」など期間のある話ですし、大事なポイントが理解できていない状態で塾に通い続けても成果は出ないので、その方がお金(と時間)のムダ、とも考えられます。
「ズルをしている」「過保護すぎる」ような気持ちにもなるため、保護者同士の会話では家庭教師の存在は隠されることが多いのですが、そもそもサピックスなどの塾も、家庭教師の利用に反対していません。
「必要であればどうぞ」「家庭教師も個別指導も否定しません」とのコメントをサピの先生から聞いたという話も多いのです。
塾 + 家庭教師の併用が効果的な3つの理由
塾の教材は量が多く、解説がシンプル
特にサピックスで顕著ですが、塾のテキストは「自分で考える習慣をつけるため」「授業に集中してもらうため」、解説がはシンプルである場合が多いです(特に算数)。そのため、家庭でのフォローが難しい側面があります。
量も膨大なので「全て完璧にしないと」と思う真面目なお子さんほど、消化不良になりがち、ということにも。優秀な家庭教師が、子供の理解度や志望校にあわせて「やるべき問題」と「はしょっても構わない問題」を見極めてくれると確かに心強いです。
授業以外のフォローが薄め
そもそもが「集団指導」なので当たり前といえば当たり前なのですが、授業のペースが非常に速いわりに、授業以外でのフォローが比較的薄いのが、良くも悪くも塾というもの。
質問ができる機会や時間帯は設けられている場合が多いですが、順番待ちで帰宅が遅くなるのもかわいそうですし、そもそも「明確な質問」ができなければ効果はありません。
塾系列の個別指導がイマイチ?
個別の質問はこちらでどうぞ、ということで大手の学習塾が経営・提携している個別指導塾があるのですが、先生の質や関わり方を考えると「だったら家庭教師の方がいいのでは?」と考えざるをえないケースが多いです。
例えば、サピックスグループが運営している、準拠個別指導のプリバートには、サピックスの教材がそろっており、また、校舎との連携も取れているのですが、その効果については「?」であるとの意見が多いです。
多くの個別指導塾と同様、プリバートの指導スタイルは「生徒2人に対して先生1人」であり、また、1コマ60分のうちの10分を報告書の作成に費やすため、1人の生徒に教えられる時間は最大25分。つまり、時間当たりの費用で考えると、家庭教師とあまり変わらないのです。
中学受験に失敗しない、家庭教師の使い方&選び方
塾+家庭教師のスタイルで勉強を始める方が多いタイミングは次の3つ。
- 5年生の2月:6年のカリキュラムがスタートすると、グッと難しくなったと感じるお子さんが多いため
- 6年生の夏以降:過去問の取り組みが本格化するため
- 受験直前:親も焦る時期なので、最後の追い込みを客観的に行うため
「とにかく今のクラスを維持するために」というような気持ちで家庭教師を探す方も多いのですが、どちらかというと「この科目のここをお願いしたい」のように具体的な依頼ができることが望ましいです。
家庭教師オンリー(塾なし)での中学受験もアリ
一方、実は「塾ナシ&家庭教師メイン」で受験勉強を進めるご家庭もそれなりに多いです。
- 苦手分野を克服するために、一定の期間塾をお休みし、その間は家庭教師オンリーで学習を進める
- 塾の勉強に疲弊してしまい効果も上がらないため、キッパリと退塾して家庭教師でがんばる道を選択
- 志望校別の特訓に参加しないこととし、過去問の対策は家庭教師で
などなど、いろいろなパターンがあります。
併用にするか、塾なし(塾を減らす)のどちらの場合も、大事なのは「しっかり理解していないなら、塾の時間は無駄になる」という事実を直視すること。
エンタメ性の高い授業の雰囲気が楽しかったり、友達との付き合いもあったりするため「塾には通いたい。辞めたくない」と主張する子が多いのですが、塾に通うことで成果が出ているのか?は、われわれがきちんと判断しないといけませんね。
塾なしで勉強を進める場合は、ペース作りのために通信講座を利用するご家庭も多いです。中学受験で便利な通信講座についてはこちらの記事でもご紹介してますのでぜひご覧ください。
難関校の受験にも対応できる家庭教師はどう探す?
以下、難関私立の中学受験にもしっかり対応できる、トップレベルの家庭教師が所属する会社をご紹介します。
プロの家庭教師が集まる「中学受験ドクター」
開成10名、麻布10名、桜蔭9名など、御三家への合格実績も多い、「難関受験」に特化した家庭教師紹介サービス。サピックスなどの大手進学塾でトップクラスを教えていたプロ家庭教師も多いです。また、指導にあたる先生とは別に、学習相談にのってくれる常勤のプロ講師がいるのも特徴です。
合格戦略や塾の活用法を学校別にまとめたマニアックなWebサイト「開成中学合格対策ドクター」「桜蔭中合格対策ドクター」なども運営しており、これらを見たことがある方も多いと思います。まさに中学受験のプロフェッショナルと言えそうですね。
こちらのWebサイトから、家庭教師の無料体験もできます。
中学受験経験者の東大生が教える「登竜会」
比較的新しい会社。1人の生徒を2人以上の東大生が担当するというシステムが注目されています。講師は全員東大生で、さらに講師とは別の「戦略責任者」が学習計画の立案などをサポートするのが特徴。「教えるのが下手な東大生にガッカリ」という心配は不要ですね。
中学受験の経験や、出身中学を指定して依頼することもできますので「志望校から東大に入ったお兄さん(お姉さん)」に教えてもらえるかも。
しっかりとした初回のガイダンスと継続的な理解度チェックで「受験の悩みを根本から解決する」というのがコンセプト。遠方の場合はオンラインでも対応可能です。
こちらのWebサイトから資料請求や質問ができます。
家庭教師を紹介してくれる会社はたくさんありますが、ここでは難関校に強く、また、「学習相談」(中学受験ドクター)や「戦略責任者」(登竜会)というわかりやすいしくみを導入することで、家庭教師の大きな問題である「先生による当たり外れ」を防ごうと工夫している2社をご紹介しました。
家庭でのフォローでは「やらなくていい」「基礎に戻る」という判断が何よりも難しそうです。プロの個別アドバイスはありがたいですね