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報告書は公立中高一貫校の合否にどのくらい影響する?

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難関化が進む公立中高一貫校。その合否の判定に用いられる「報告書」について、都立中高一貫校を例に考えてみました。

まとめ
  • 入学試験(試検)の約2割が報告書で決まる
  • 「3」が少ないと、小問1つか2つ分の得点ロスに
  • 地域や学校により、報告書の扱いは大きく異なる

ここでは、東京都の公立中高一貫校である都立三鷹を例に、学校の成績が報告書としてどのように点数化されるのか?それが適性検査との総合評価でどの程度のインパクトをもってくるのかなどをまとめてみました。

大前提として、学校のテストでの点数の取りこぼしはもったいないので、塾ほどの負担にはならないスタディサプリや通信講座での「適度な先取り」は、検討する価値があると思います。

成績の約2割が報告書で決まる

都立三鷹中等の場合、合否は適性検査と報告書の総合成績で決まります。

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適性検査が800点、報告書が200点の合計1000点を満点として、受験生の合否が決定されます。(合格ラインは年によって異なりますが、6割程度といわれています。)

つまり、総合成績の1/5が学校の成績で決まるというわけです。

各教科の成績を3段階で点数化

もう少し詳しく見ると、報告書の素点(換算前の点数)は640点満点。40点満点の8教科について、5年生と6年生の2年間が合計されます(式でいうと、40 x 8 x 2 = 640 ですね)。

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上の通り、すべて「3」の場合は満点の640点になり、これが総合成績では200点に換算されます。

同様に、すべて「2」の場合は320点(換算後は100点)、すべて「1」の場合は80点(換算後は25点)となります。極端な例ですが、すべて「3」と「2」の場合は100点の差が、すべて「3」と「1」の場合は総合得点で175点の差がつくことになります。

表にもある通り、各教科の重みはすべて一緒。算数も体育も、国語も図工も同じ評価が同じなら同じ点数になります。(後述するように学校によって異なる場合もあるのでご注意ください。)

「ほとんど3」と「3が少し」ではどのくらいの差がつく?

公立中高一貫校を受検するお子さんの場合、「1」はほとんどないでしょうし、「オール3」もなかなかレアなことだと思います。

おそらく、多くの方が知りたいのは、

  • うちの子は3が少ない、、、大丈夫なのか?
  • 3が多い子との差は、適性検査で取り戻せるのか?

このような疑問(というか不安)だと思います。では、ちょっと計算してみましょう。

「ほとんど3」の子の報告書の得点

8教科のうち6教科が「3」で他が「2」としましょう。(オール3に惜しくも届かなかったものの、素晴らしい成績!ですね。)

この場合、先ほどの表で計算すると、得点は560点。換算後は175点となります。

「3は少しだけ」の子の報告書の得点

今度は逆で、8教科のうち6教科が「2」で他が「3」としましょう。(算数と理科だけが3であとは2、というような感じでしょうか。忘れ物が多かったり授業で消極的だったりすると、塾での成績が良くてもこんな感じになる子は多いですよね。。。)

この場合、得点は400点。換算後は125点となります。

つまり、「ほとんど3」と「3は少しだけ」の場合では、50点の差がつくことになります。

報告書の差は適性検査で挽回できる?

さて、報告書でついてしまったの50点の差を、適性検査で挽回するのは、どの程度大変でしょうか?

先ほどもご紹介した通り、適性検査は換算後には800点満点。ですので、50点は、適性検査の6.25%にあたります。つまり、5〜10%ほど余計に得点できれば、報告書でのハンデを取り戻せることになります。

適性検査Ⅰ(国語)で取り戻すには?

都立三鷹の場合、100点の適性検査Ⅰが300点に換算されます。平成30年の場合、もっとも配点の低い小問が20点でしたので、これは60点に換算。

「3が少ない」のは「小問を一つ落とす」のと同じくらい影響する、ということになります。

適性検査Ⅱ(算社理)で取り戻すには?

都立三鷹の場合、100点の適性検査Ⅱが500点に換算されます。平成30年の場合、4点と6点の小問がいくつかありましたので、例えばこれらを一つずつ得点するこれは50点に相当します。

「3が少ない」のは「小問を2つ落とす」のと同じくらい影響する、ということになりますね。

挽回は可能だが、小さな違いではない

800点中の50点、確かに挽回は十分可能ですが、小さな違いとは言えません。合格者の平均点のあたりに位置する場合、50点は大きなハンデ。

忘れもものに気をつけたり、授業で積極的に手を挙げるなどのちょっとした習慣である程度カバーできる子は多いはずなので、なんとかかんとか、良い成績をとってきてほしいものですね。

「1」は極力避けたい

これは念のためですが、やはり「1」は極力避けたいもの。都立三鷹の例では

「3」がたったひとつ「1」になってしまうことで、素点で35点、換算後で約11点も失ってしまいます。

志望校での報告書の扱いを確認しよう

ここまでは東京都の公立中高一貫校、特に都立三鷹中等の例で説明してきましたが、都道府県により、また、学校により報告書の扱いは変わります。

ご自身(お子さん)の志望校でどうなるのかは、募集要項などでしっかりと確認しましょう。

また、確認にあたっては、次のような点にも注意してください。

適性検査と報告書の得点(比率)

報告書と適性検査がどのように評価されるかは、学校により、地域により異なります。例えば同じ都立高校でも、報告書の点数には次のような違いがあります。

  • 武蔵:400点
  • 桜修館:300点
  • その他:200点 #三鷹を含む9校

ただし、報告書の「点数」だけを見るのはほとんど意味がありませんのでご注意。適性検査が何点なのかを同時に調べることが必要です。

  • 武蔵:400点+1200点
  • 桜修館:300点+700点
  • 富士:200点+900点
  • 小石川:200点+600点
  • その他:200点+800点  #三鷹を含む7校

さらに、この状態では合計点が異なるため比較が難しいです。1000点満点になるように揃えてみると、次のようになります。

  • 武蔵:250点+7500点
  • 桜修館:300点+700点
  • 富士:182点+818点
  • 小石川:250点+750点
  • その他:200点+800点  #三鷹を含む7校

ついでに、報告書の比率が高い順に並べてみましょう。(武蔵と小石川は比率が同じになりましたのでまとめました。)

  • 桜修館:300点+700点
  • 小石川、武蔵:250点+7500点
  • その他:200点+800点  #三鷹を含む7校
  • 富士:182点+818点

同じ都立でも、最も比率の高い桜修館と最も比率の低い富士とでは、報告書が合否に占める割合がずいぶんと異なることが、よくわかると思います。

傾斜配点(3と2のギャップ)

例として挙げた都立三鷹は、3を40点、2を20点、1を5点で計算しますが、この点数(のバランス)も、学校により異なるので注意が必要です。

もっとも多いパターンは、都立三鷹のように「2は3の半分として計算」というものなのですが、いくつかの学校は、3と2にそこまでの差をつけていません。

都立の11校を、この観点から3つのグループに分類すると次のようになります。

  • 2の点数が3の点数の「80%」:小石川、武蔵、大泉
  • 2の点数が3の点数の「60〜70%」:桜修館、両国、富士
  • 2の点数が3の点数の「50%」:その他の5校

2行目は、60〜70%と幅がありますが、具体的には、桜修館=68%、両国=64%、富士=60%となっています。

学校、地域によってはその他の違いも

この他にも、

  • 区立九段は4年生の成績も報告書の対象に
  • 両国は実技科目(音楽、図工、家庭、体育)の配点を抑えている

このような違いがありますので、詳細は各校の資料で確認してください。もちろん、都道府県によっても、大きな違いがあります。

報告書(成績)はどうやったら上がる?

試験の本番で小問を1つ、2つ余計に正解するというのはなかなか大変ですので、報告書ではハンデを負いたくないもの。オール3とはいかずとも、3の数はできるだけ増せるように導きましょう。

学校の成績は、テストの点数やスポーツの上手さだけで決まるわけではありません。成績表にもある4つの観点(国語は5つ)の中には、「得意かどうか」では決まらない項目も多く、ここが成績を左右していることもあります。

特に、「テストの点は悪くないのに成績はイマイチ」という場合には、次ような点に留意すると大きな効果があるはずです。

意欲、関心、態度

宿題忘れや忘れ物をしないことは必須です。また、ノートや提出物では、字をキレイに書くことも重要です。塾に通っているお子さん、特に男の子の場合、わかっているのに挙手をしない子が多いのですが「積極性」の有無もこの観点での評価に大きく影響します。

思考、判断、創意工夫

この項目はわかりづらいのですが、授業での様子(発言やノートの内容など)が重要視される項目です。意欲や知識など他の項目とも深く関連しています。

技能

音楽や体育がわかりやすいです。国語では読み書きなどの能力がこれにあてはまります。

逆にいうと、体育でも、運動能力が評価されるのは実はこの項目だけ。まったくの運動音痴さんでも、他の3つの観点で高評価を得れば「3」をゲットすることができます。

知識、理解

ここはズバリ「テスト」の点数。普段の小テストから真剣に取り組むようにしましょう。また、カラーテストは裏面(50点満点)も重要です。

5年生になってからいきなり「真面目にやってね!」と言ってもなかなか難しいので、4年生からしっかりモードで取り組むことをおすすめします。

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