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ミネルヴァ大学の評判は?学費や入学試験など

世界中を旅しながら学ぶミネルヴァ大学についてまとめてみました。

ミネルヴァ大学とは?

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  • ミネルヴァ大学(Minerva Schools at KGI)は、「21世紀最初のエリート大学」として設立された新しい大学
  • サンフランシスコに拠点を置き、「高等教育の再創造」を掲げるミネルバ・プロジェクト(Minerva Project)社が運営
  • キャンパスを持たず、講義はすべてオンラインで行われるが、学生は寮で共同生活を営む。そして、寮は世界の7カ国を転々とする
  • ディスカッション中心の授業や、企業や政府、自治体と協働して進めるプロジェクトを通じて課題解決の手法を学ぶ
  • ハーバード、スタンフォード、ケンブリッジなどの名門大学を辞退して進学する学生がいる
  • 開校直後から、1年生終了時のクリティカル思考力を測定する外部テストで全米の大学の中で圧倒的1位の成績を収めた
  • 2014年入学の一期生は来年卒業予定。起業を志す学生も多いが、多数の企業からインターシップや雇用についての問い合わせが殺到

www.minerva.kgi.edu

ミネルヴァ大学には「キャンパス」がない

授業はすべてオンライン

ミネルバ大学の授業は、すべてオンラインで行われる。しかし、不特定多数に、一方通行の講義をネットで遠隔配信するだけのオンライン大学ではない。20名以下の少数編成のクラスだが、生徒たちは一同に介して、教授の話を聞き、ディスカッションを行う。

つまり、離れた場所にいる教授が、生徒の集まる教室に「チェックイン」する形式。

効果を出すためのオンライン化

オンライン化することで、講師のモニターには一人一人の表情、作業の手元がはっきり映り、やる気や理解度が手に取るようにわかる。また、個人の発言時間を自動的に計測し、発言量のバランスも見ながらクラスを進行できる。音声は自動筆記で即時にテキスト化されるのでフィードバックも早く確実になる。

つまり、深い学びを効率良く進めるためのオンライン化を行うという考え方。一般的なオンラインスクールとは逆の発想。

ミネルヴァ大学のキャンパスは「世界」

4年間で7か国を移動

上述の通り、授業はオンラインだが生徒たちは全寮制。グループで行うプロジェクトやクラブ活動は生徒たちが仲間とともに行えるようになっている。
さらに、寮の場所は4年間で世界の7カ国を移動する。

ミネルバ大学のカリキュラムでなんといっても魅力的なのがこの点。

  • 1年目 - サンフランシスコ(米国)
  • 2年目 - ソウル(韓国)、ハイデラバード(インド)
  • 3年目 - ベルリン (ドイツ)、 ブエノスアイレス (アルゼンチン)
  • 4年目 - ロンドン(英国)、台北(台湾)
各都市で学ぶ内容も変わる

滞在都市にある最新の研究施設や芸術施設、図書館などを利用し、企業との共同プロジェクトを実施できる。

都市ごとに学びのテーマがあり、抽象論ではなく実際に、各都市で学ぶ事柄が大きく変わる。

つまり、学期が変わるごとに生活も変わり、学びも変わる。そんな刺激的な環境で成長することができるのだ。

ミネルヴァ大学の入学試験

ミネルバ大学への出願は毎年増えているが、要求水準がとても高いミネルバ大学は、とても狭き門。合格率が2%を切ることも。

ミネルバ大学の入学試験は大きく3つの部分に分かれている。

パート1:Who You Are

ミネルバ大学のWebサイトで名前、メールアドレスや学歴などの基本情報を記入。「出願用アカウント」を作成する。個人が複数のアカウントを使って受験することは固く禁じられており、発覚した段階で不正とみなされる。また、出願が認められているのは各年度に1回。

パート2:How You Think

How You Thinkでは、出願生の考え方が問われます。TOEFLやSATなどの外部試験は用いず、独自の問題を用意している。出題分野は大きく6つ。

  • Creativity (創造性)
  • Mathematics (数学)
  • Understanding (理解力)
  • Reasoning (論理力)
  • Writing (表現力)
  • Expression (面接)

これらの設問には全て約7分~20分程度の時間制限がついており、質問にはその場で答えなくてはいけない。また、設問の体裁は共通していても、質問の内容は受験生によって異なるので、オンラインだからといって不正をすることは難しい。

パート3:What You Have Achieved

出願生自身の過去の功績についてアピール。自身の成し遂げたことを列挙し、それらが周りの人々や社会へどのような影響を及ぼしたか、ということを簡潔(数行)かつ可能な限り定量的に自己評価する。功績の証拠となるもの (画像、動画、リンクなど形式は問われない)も提出する。

文章力でごまかせる他大学のエッセイと違って、ごまかす余地がない。(表現力は既にHow You Thinkで問われているので、What You Have Achievedではそれは評価されない。)

定員の枠を争う相対評価ではない

ただし、一つ付記しておきたいのは、ミネルバ大学には「定員がない」ということ。つまり、限られた席を優秀な学生同士で取り合っているわけではない。

相対評価で決まった数の学生を選ぶのではなく、一定のハードルのような水準を用意しており、その要求水準を超える学生は全員合格。

ミネルヴァ大学では何を学ぶのか?

ミネルヴァで1年過ごした学生は、アイビーリーグの3年生や4年生が競い合うようなインターンシップを容易くこなすといわれている。そしてその理由は、ミネルヴァの「カリキュラム」にあると言われている。

カリキュラムは、以下4つのテーマに沿って全てが組み立てられている。

  1. どうすれば社会の重要な課題を発見できるか
  2. 課題に対するクリエイティブな解を見つけられるか
  3. 解を実現可能なレベルに落とし込めるか
  4. 課題と解について人に上手く伝達できるか

例えば、サンフランシスコで過ごす1年次は、教養課程のような共通の授業を受けるが、ここでは、そのためにまず物事の見方の 120パターンの癖を矯正し、4つの学びの基本コンセプトを学ぶ。

  • 分析   統計手法、論理、意思決定判断、シミュレーションなど
  • 複雑系  互いに関係しあう要因を観察する
  • 実証分析 仮説を立て、調査・実証してみる
  • 修辞学  多様なコミュニケーション方法を探る

これらの過程を経て、それぞれの専攻を2年次に決定。基礎学習を経て専攻を選び更に深まっていく年次ごとの学びに合せて、どの都市でどの年次を迎えるのが一番ドラマティックかというストーリーも、大学側はきちんと考えているという。

滞在する各都市では、その地の企業や団体でのプロジェクト学習、インターンなどが行われ、前述の4つの技能を深く身につける。

ミネルヴァ大学の学費は高くない

比較的安価なミネルヴァの授業料

年間の授業料は1万2950ドル(約145万円)、寮費は1万ドル(約100万円)と決して安くはないが、全米の名門私学大学が4万〜6万ドルの授業料であることを考えると比較的良心的。奨学金も潤沢に給付している。

このような価格は、学生寮以外にはキャンパスなどの施設を持たないため設備投資が不要であることに起因している。

利益創出の事業も同時に手がける

オンラインで行われる講義にシステム的な工夫が行われることは前述の通りだが、教授たちの準備も入念だ。ミネルヴァでは、1.5時間のレッスンプランを、なんと100時間も費やして開発しているという。

このようなカリキュラム開発のコストがそのまま授業料に転嫁されたのでは、とてもではないが年間1万2950ドルの授業料では収まらない。

実は最先端のテクノロジー開発や、カリキュラム開発は、全てミネルヴァのfor-profit wing(利益追求を目的とする関連会社)が手掛けている。この会社はVC等から投資を受け、将来的には他の教育機関へライセンス契約をすることでリターンを上げていくという計画。

ミネルヴァ大学は同社のnon-profit wingであるため、このライセンスを無償で使うことができる。

う〜ん、なんだかすごすぎてコメントが難しいのですが、自分の子供がこんな環境で学ぶことができれば幸せだと思いました。というか、自分が行きたいですね。

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