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早稲田政経の入試改革は「数学必須」よりも「英語重視」

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少し前のニュースですが各種のメディアでも大きく報じられた「早稲田政経の数学必須化」。個人的には当然というかいい動きだと感じるのですが、ちょっと調べてみたところ、かなり印象が変わったのでまとめました。

一言で言うと、確かに数学は必須にはなるのですが、それよりも「英語入試になりまーす」という点のインパクトの方が大きいのでは?と。

早稲田大学 政治経済学部の入試改革の概要

まず、早稲田政経の入試改革の概要はこのようなものです。

  • 2021年から政治経済学部の一般入試受験生に大学入学共通テストを活用
  • 外国語、国語、数学の3科目が必須。4科目目は選択(数学、社会、理科から)
  • 英語の民間試験の結果も合否判定に使う
  • 独自試験は日本語と英語の長文を読み解く記述式の問題

早稲田政経が「数学必須化」で脱・私立文系

この改革は、早稲田政経の現在の試験(一般入試)が、外国語、国語が必須で地理・歴史または数学から1科目を選ぶという、典型的な私大型であったため、「数学の必須化」が、いろいろなメディアで大きく報じられましたし、私もちょっとびっくりしました。

数学必須化を伝えるニュース見出し
  • 「政経学部」入試で数学が必須に...早稲田の狙いが分かった
  • 早稲田大学、政経学部の入試で数学必須化の衝撃
  • 早大、攻めの入試改革 政経で数学含む共通テスト導入へ
  • 早稲田(政経)が数学必須に舵を切る

入試改革の狙いは?

今回の改革は何を目指すものなのか?早稲田大学政治経済学部の学部長・須賀晃一教授は、各メディアからの取材について次のように答えています。

統計を理解できる数学的素養が必須

「いまの世の中、思考のスキルの中に最低限、数学的素養が必要だと考えています。 ビッグデータの時代と言われますが、データそのものは自分たちの身近にある。問題はそれをどう使うか。そのために必要なのが、数学的素養であり、数学が基にある統計学になるわけです。 社会には何が必要で、どうすればそれができるのかを自分で考えなくてはいけない。入試改革は、不確実な世界で解決策を実行できるグローバルリーダーを養成するための一環です」

数Ⅱ・数Bを必須としたい意見もあった

「数学を必須化することについて、もちろん学部内でも議論がありました。早稲田の政経を受験するために、他の科目を犠牲にしている人がいますから。 そういう人たちを排斥することになるんじゃないか、門戸を閉ざすことになるんじゃないかという話になりました。 さらに必須化するのは『数Ⅰ・数A』ですが、実際に経済学を学ぶ上で必要なのは『数Ⅱ・数B』の能力。なので、学部内の経済学の先生たちからは『せっかくなら、数Ⅱ・数Bを必須にするべきでは』という声もあった。 一方で政治学の先生たちからは『そもそも数学を必須化する必要はない』と反発もあった。経済学系、政治学系両者の教授陣が歩み寄った結果、数Ⅰ・数Aを必須化する形になったわけです」

論理的思考力を持った学生がほしい

「基礎的な力と同時に、論理的思考力を身につけた学生に来てもらいたい」

内外からの評価はまっぷたつ

「数学の必須化について、大学の内外から色々とご意見を頂きますが、評価はまっぷたつですね。『(大学としての)本来の姿だ』と言ってくださる方もいれば、『(受験産業などへの)影響が大きすぎて実行不可能ではないか』という厳しい意見もありました」

実際のインパクトは数学よりも英語?

ただ、公式発表のPDFを見てみると、数学の必須化よりも「英語の比重が高まること」のインパクトが大きいのでは?とも感じられます。

以下、早稲田大学の資料「2021年度 政治経済学部 一般入試改革」よりまとめます。

改革の方向性

一般入試について、大学入学共通テスト、英語外部検定試験、学部独自試験(日英両言語 による⻑文を読み解いたうえで解答する形式)の合計点により選抜する方式に変更 します。

一般入試改革の内容

(1)まず、合計200点のうちの100点が大学入学共通テストに。以下の4科目を 25 点ずつに換算。上の3つが必須。

  • 英語(外国語)
  • 国語
  • 数学I・数学A #数学必須化!
  • 選択科目(社会、理科、数学系から選択)

(2)残りの100点=英語外部検定試験+学部独自試験

  • 用いる試験は、大学入学共通テストで活用される試験を前提として検討中
  • 英語の配点は3割程度(つまり、全体の15%程度)
  • 残りの約7割が学部独自の試験
  • 90分間で行われる学部独自の試験は、日英両言語による⻑文を読み解いたうえで解答する形式。記述解答を含む

 

数学の配点は全体の1/8〜1/4

これをみるとわかる通り、早稲田政経の新入試で課される数学の配点は大学入学共通テストの1/4。全体の1/8であることがわかります。しかも、必須となるのは数学Ⅰ・数学Aのみで、数学Ⅱ・数学Bは選択科目。少なくとも「難しい数学をバッチリ解けないと合格できない」ということはなさそうです。

ただし、選択科目で数学Ⅱ・数学Bを選べば全体の1/4を数学にすることができます。これなら、数学が得意な受験生はかなり有利になりそうです。

では、英語の配点は?

これに対して英語の配点はどうでしょうか?

  • 大学入学共通テスト:1/8
  • 英語外部検定試験:15%

これを合計すると、全体の27.5%が英語の成績で決まることがわかります。

さらに、見逃していけないのが、全体の約35%をしめる「学部独自試験」の記載。「日英両言語による⻑文」を読めないと解答できませんので、この得点も英語力に大きく左右されるわけですね。

英語の配点は45%!

仮に、35%のうちの半分が英語力に大きく影響されるとすると、

  • 学部独自試験(の英語):17.5%

これが上の計算に加算されますので、結局、

  • 全体の45%に英語力で決まる

と言えそうです。英語が、数学よりもはるかに大きな比重を占めるわけですね。

早稲田外国語大学では?というネットの声も

ニュースを深読みするネット民の一部は改革のこの側面にもすでに注目しており、次のような声を拾うことができました。

  • 早稲田の国語は消えて行くのか… 毎年問題みるの楽しみだったのに
  • 東京外語大をさらに軽量にしたみたいな英語ゴリ押し入試じゃん
  • 早稲田外国語大学だな
  • 一番やばいのは 二次試験が英語しかないところ オワコンかな  
まとめ

私はけっこうニュースは見出しだけ読んで満足してしまう派なのですが、今回はあらためて、それではいかんなぁと思いました。

と同時に、うちの子はどうやら数学(算数)が嫌いではないようなので、我が家にとってはラッキーな流れなのかな?とは思います。

[参考]

 

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