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公立中高一貫校にも英語入試が導入される?

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公立中高一貫校の適性検査にも英語が出題?どんな問題が出る?

経済のグローバル化、大学入試改革、都立高入試へのスピーキング試験導入、難関私立中学(市川中、慶応藤沢、西大和)での英語入試導入など「英語」をめぐる状況はめまぐるしく変化しています。

公立中高一貫校の適性検査に英語が登場?

多くの識者が、都立中など国公立中学校の入試に英語が含まれるようになるのは時間の問題とも指摘。これはとても気になる動きですね。

例えば、森上教育研究所の森上展安さんは、ベネッセの教育情報サイトで次のようにコメントしています。

国公立の中高一貫校は、2020年度、小学校で英語が正式教科となった以降は、おそらく英語でも試験を行う運びになるのではないかと思います。 ちなみに、都立高校の入試では、独自のスピーキングテストを実施することが検討されており、2019年度以降に試行する意向が発表されています。都立中高一貫校も、従来の適性検査と併せて、英語力レベルの基準を設ける方向に行くかもしれません。

出典:さらに進むか? 英語入試の導入【中学入試】|ベネッセ教育情報サイト

また、中学受験36年のキャリアを持つカッシー先生は、むぎっ子広場で次のように発言。

2020年度より、小学校で英語が教科化されることから、今後、全国の公立中高一貫校入試で英語が出題されるのは時間の問題といえます。いや、厳密に言えば、新小学4年生以下の児童は、公立中高一貫校入試で必ず英語が出題されると決め打ちして、いまからそのための準備を進めていくべきでしょう。

出典: 公立中高一貫校入試で英語導入決定へ!! - カッシー先生のゆったり教室

帰国生の受け入れや英語教育に力を入れた新興進学校の躍進でもわかる通り、英語ができる子、英語が好きな子の入学が進学実績に直結することは常識になりつつあります。

これを考えると、学校経営方針に国公立大学への進学数を掲げる公立中高一貫校が、適性検査への英語の導入に積極的になるのは当然だと考えられそうです。そもそも、文科省の方針に沿った動きなわけですからね。

適性検査か?出願資格か?報告書か?

ただし、入学審査の基準に英語を採用すること=英語入試とは限りません。「英語資格の取得などを出願の資格にする」「報告書での扱いを変える(英語の成績を重視する)」などの方法も考えられます。ただ、出願資格にするのは、適切な英語試験が見当たらないため難しそうです(大学入試改革でのドタバタは大きなニュースになりました)。また、報告書における英語の配点を高くするのも、他の教科との兼ね合いで難しそうな印象を持ちます。

なので、公立・都立の中高一貫校では「適性検査」に英語が含まれるようになるのではないでしょうか。

適性検査の「英語」 どんな問題が出る?

ヒント(1):大宮国際の英語入試

来春開校予定のさいたま市立大宮国際中等教育学校が公開したサンプル問題では、次のような形で英語の試験(検査)が含まれていました。

  • 適性検査A(第1次選抜):リスニング(放送問題)。放送の内容に適したイラストを選ぶ、4人の生徒の会話を理解する、地図の内容を正しく示す放送を選ぶの3パターン
  • 集団活動(第2次選抜):30分間の英語による集団面接。自己紹介、グループでの議論、発表とその準備を英語で行う

大宮国際は、バカレロア教育を行うという特別な学校なので、そのまま他の公立中高一貫校の参考になるかはわかりませんが、貴重な事例にはなりそうです。

http://www.city-saitama.ed.jp/ohmiyakokusai-h/tekisei01.html

ヒント(2):私立中学の英語入試問題

もちろん、一般生向けの英語入試を実施している中学校の過去問も参考になります。都市大付属、西大和の例を紹介しているこちらの記事もありますのでご覧ください。

uchino-ko.hatenablog.com

公立中高一貫校の英語入試にはどう備える?

大宮国際にしろ私立上位校の英語入試にせよ、リスニングやスピーキングも合わせた総合的な英語が必要になることは間違いありません。われわれ親世代が受けた英語教育とは大きく異なりますので要注意です。

基礎的な語彙力や文法が必要なのはもちろんとして、対策として有効なのは「英検」と「オンライン英会話」。

こちらの記事もぜひご覧ください。

uchino-ko.hatenablog.com

uchino-ko.hatenablog.com

子供の「英語」をめぐる最近の動き

小学校、中学校、高校の英語の授業や、高校入試、大学入試の英語では次のような動きが起きています。かんたんにご紹介しましょう。

小学校の英語の授業はこう変わる

2020年度から小学校で全面実施される新学習指導要領では次のような変化が生じます。

  • 5・6年生で英語が教科化される
  • 英語に親しむ「外国語活動」が、現行の5・6年生から3・4年生へと前倒し

中学校の英語の授業はこう変わる

小学校だけでなく中学校の英語の授業も変わります。

  • 英語の授業が、高校と同じように、原則として英語で行われる
  • 2021年度から全面実施

高校入試の英語はこう変わる

東京都教育委員会の検討委員会が、都立高校入試の英語に「話すこと」(スピーキング)の試験を導入することを求めた報告書をまとめました。今後、高校入試の英語のスピーキング導入が全国的に広がることが予想されます。

英語のスピーキング評価に関する高校入試改革の動きは、他府県が先行しており、すでにこのような動きが。

  • 大阪府:2017年度府立高校入試から、英語を資格・検定試験の成績で換算できる
  • 福井県:2018年度県立高校入試から資格・検定試験で一定レベルに達した受験生に英語の点数を加点する

高校ではすでに「授業は英語で」が建前

実は、すでに2013年4月より、高校の英語の授業は「英語で行うことを基本とする」ことになっています。文部科学省が定める高等学校学習指導要領 外国語編では、高校英語のすべての授業を英語で行うことを謳っているのです。

実際の授業はどうなるのでしょうか? 新しい学習指導要領として2008年にはすでに告示されていましたが、完全な実施には程遠いのが実情のようです。

大学入試の英語はこう変わる

2020年度から大学入試センター試験に代わって導入される「大学入学共通テスト」の英語でも、「聞く・読む・話す・書く」の4技能を評価。センター試験が、民間の英語資格・検定試験で代替される予定です。

  • 2020年度から「大学入学共通テスト」が実施
  • 「聞く・読む・話す・書く」の4技能が評価される
  • センター試験は、英語資格・検定試験で代替される

センター試験を代替する民間試験については、「英検が落ちた!」などのニュースもありました。また、東京大学が、「共通テストは選考に用いない」と言ったり、「用いるかも」と言ったりして界隈を騒がせています。

共通テスト(英語の民間試験)の基本方針
  • 浪人生の場合は受験年度に加え、前年度に受けた民間試験の結果も受験に使える(前年度分を実際に活用するかどうかは各大学の判断に委ねることも併記)
  • 現役生の場合、高3の4~12月に受けた民間試験の成績のうち2回分を受験に使うのが基本
  • 現役生についても英検準1級合格レベル(語学力の国際標準規格CEFRでB2)以上の成績があり、経済的に困難な事情を抱えていたり、離島やへき地に住んでいたりといった条件を満たした場合は、例外措置として高2時のスコアも受験に使える
ベースにあるのが「4技能」

これらの英語教育の改革の柱となっているのは「聞く・読む・話す・書く」の4技能をバランスよく教えることで、グローバル化に対応する「使える英語」を習得させるという実業的な考え方です。

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